ガンダムコミック大全 >> 1990年代後半 >> 機動戦士クロスボーン・ガンダム
(左:オリジナル版1巻/中:普及版上巻/右:新装版1巻)
宇宙世紀0133─木星。この地球より遠く離れた世界に、人知れず着々と地球侵攻の準備を進める存在、『木星帝国』(ジュピター・エンパイア)があった。地球からの留学生・トビアはひょんなことから『木星帝国』と戦う宇宙海賊クロスボーン・バンガードの一員となったが…!?
「機動戦士クロスボーン・ガンダム」は、1994年から1997年にかけて少年エース誌上にて連載された、長谷川裕一 によるコミック作品である。原作は富野由悠季自らが担当しており、メカデザインにはカトキハジメも参加している。
他のガンダムコミックにも原作・原案で富野の名前は出ているが、それらはあくまで名目上の記載でしかないため、本作が富野由悠季が関わった唯一のガンダムコミックとなっている。
「ガンダムF91」よりもさらに未来のU.C.0133が舞台となっており、キンケドゥを名乗るシーブック・アノー等、F91からのキャラクターを引き継いで続編的な形をとっているが、コスモバビロニア戦争の続きではなく、トビア・アロナクスを主人公にベラ・ロナ率いるクロスボーンバンガードと木星帝国の戦いが描かれている。
本来テレビシリーズとして企画されながらも日の目を見ることがなかった「ガンダムF92」のプロットやアイデアも、その一部は富野自らにより本作にも流用されている。
F91の続編的に捉えがちだが、根本にある作品テーマとしては後の「Vガンダム」も含めた宇宙世紀ガンダムおよびニュータイプサーガの総括としての意味が強い。好みの分かれる長谷川の特徴的な絵柄にやや敬遠されがちだが、富野原作やカトキデザインといった付加価値以上に、長谷川の力量もあいまって他のガンダムコミックには無い少年マンガとしてのおもしろさ、完成度がスバ抜けて高い。ガンダムの派生作品として以外の、それ以上の価値を持つ唯一の作品ともいえる。
連載当初はコミック出自ということもあり、セミオフィシャルな外伝、という位置付けであった。が、連載終了後しばらくし、主役機であるクロスボーンガンダムは「SDガンダムGジェネレーション」シリーズや「スーパーロボット大戦」シリーズ等のテレビゲームにも参戦し、人気が上昇、現在ではセミオフィシャルという位置づけも凌駕し、コミック出自としては異例の公式外伝に近い扱いを得ている。それにはやはり富野由悠季原作、カトキハジメデザイン、の要因も大きい。
また、ゲーム作品への参戦以降は、人気に拍車がかかりフィギュア化やガンプラ化もされることとなる。そういった認知度の上昇に伴い、連載終了後も番外編や外伝がいくつか描かれることとなった。それらをまとめたコミックも「機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート」として単行本化されている。
さらにはその後の続編として、「機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人」(2006〜2007年/ガンダムエース連載)、「機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト」(2011年〜/ガンダムエース連載)も発表されている。
なお、クロスボーンガンダムはカトキハジメがゼロからデザインを行った、と思われがちだが、実際には異なる。長谷川氏が自らラフデザインを起こし、カトキハジメが最終的なクリンナップなどの手を加えた、という方が正しい。そのあたりのラフデザイン画は、長谷川氏の同人誌「ラフデザ 長谷川裕一作品メカニックラフデザイン集」に掲載されている。これによると、初期のラフ画の時点である程度のフォルム、およびギミックが完成されているのがわかる。
※各巻末にメカニック解説を収録。
※廉価版コミックス上巻は第1話から第12話を、下巻は第13話から最終話を収録。
※新装版第1巻には、巻頭にINTRODUCTION、巻中に「木星コラム その1」、巻末にメカニック解説、長谷川裕一ロングインタビュー、用語解説を収録。新装版第2巻には、巻頭にあらすじ、巻中に「木星コラム その2」、巻末にメカニック解説、用語解説を収録。新装版第3巻には〜。新装版第4巻には〜。新装版第5巻には、巻頭にあらすじ、巻末にメカニック解説を収録。新装版第6巻には〜。
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機動戦士クロスボーン・ガンダム - Wikipedia
長谷川裕一 - Wikipedia